畳について

畳は日本で生まれ育ち古くから伝えられてきました。
いなわらを使用して作った床にい草で編んだ畳表を巻いた畳は、湿気の多い日本の気候にも強いことから親しまれるようになりました。
現在でも畳が愛され続けているのは、よい香り・きれいな空気・やさしい色が私たちを包んでくれるからでしょう。

畳の寸法

畳の寸法には様々な種類があり、おもに江戸間、京間、中京間、団地間などがあげられます。
様々な種類がある理由としてまず1つ目の理由は畳の寸法を決める基準となる1間の寸法が変わったことです。1間は太閤検地の時代には6尺3寸だったものが、江戸時代には6尺と短くなりました。そのため、畳の寸法も小さくなったのです。
もう1つの理由は古くは畳割りが標準だったものが、江戸時代になり柱割りが主体になったことです。畳割りとは建築計画の際に、まず畳を並べて部屋の大きさが決まってから、その周りに柱を立てていく手法で、畳の大きさは一定になります。
柱割りとはその逆で、柱をたててからその内側に畳を敷きこむ方法です。この場合、柱の中心から中心までを基準とするため、柱の太さの分だけ畳は小さくなります。このように基準が変わったことによって様々な種類の寸法が生まれました。

畳の効能

空気浄化

大気汚染の原因となっている二酸化窒素やシックハウス病の原因とされるホルムアルデヒド等を吸着する機能を持っています。

保温・断熱性

い草の断面は、スポンジのようになっており、その中に空気がたくさん含まれていますので、羽根布団のように適度な温度を保ちます。

温度調整

い草畳表+ワラ床の6畳間では、約3Lの吸湿能力があるといわれており、乾燥してくると水分を放出してくれるので、自然の湿度調整機と言えます。

弾力性

畳は弾力性に優れ、発育期のこどものバランス感覚を養うのに効果的だと言われています。

芳香性

畳表の匂いは、い草本来が持っている「干し草の香り」と、泥染めの時に使う「染土」がブレンドされたものであり、この香りが嗅覚的にも優しいと言われています。自然のアロマテラピーとしての効果もあるといえます。

吸音性

タイヤを使った実験では、床表面に柔らかい素材を使うほど、衝撃音が吸収されることがわかっており、床に畳を敷くことで音が軽減されます。

力学的強度

い草の繊維は驚嘆するほどの強度があり、細い紐でも車を引っ張ることができるほど強靱です。

五感にやさしい

色はいわゆるアースカラーで目にも優しく、触れた感じも心地よい。さらに畳の上に敷いた布団に寝るほうが、ベッドに寝るより背骨に良いということもわかっています。

畳ができるまで

現地採寸を行い土台の裁断をします。綿密に部屋の採寸を行い、正確な寸法に合わせて一枚一枚計算しながら断裁します。
部屋の形は必ずしも完全な長方形ではありません。隙間なく敷くには丁寧な採寸と断裁が決め手となります。
畳を巻くときに角でい草が折れてしまわないように霧吹きで湿らせしなりを付けます。また畳表の折り癖もとります。
畳表を土台に取り付けます。たるまないようにしっかりと張ります。またこの工程では直角を取りゆがまないようにすることが畳の目に統一感を出す鍵となります。
縁のつく長辺側の畳表を裁断します。現地採寸した大きさに合わせて正確に測りゆがまないように切ります。
留め具で抑えて機械で縫います。ずれないように留め具を機械のスピードに合わせて丁寧にはずしていきます。
へり縫いの工程は機械を手動で動かすことによってまっすぐな仕上がりにできます。大広間では特に縁の統一が見栄えをよくします。また、特殊な形状の細かな部分はすべて手作業で行うので、どんな形にも対応できます。
縁の角を折りたたんで縫い上げます。重ねた部分に厚みが出てしまうと並べた畳に隙間が出るため、工夫をしながら仕上げていきます。